images

在日外国人労働者の「失踪」の背景にある課題

日本は労働力不足を補うため、外国人労働者の受け入れを年々拡大しており、現在、外国人労働者数は過去最高の200万人を突破しました。しかし、この増加に伴い、技能実習生が職場から「失踪(しっそう)」する割合が高いという、深刻な社会・法的問題が浮き彫りになっています。

1. 「失踪」とは何か?

日本の法律および出入国管理の用語において、「失踪」(しっそう・逃亡)とは、正当な在籍資格(ビザ)を持って来日した外国人労働者(特に技能実習生)が、所属する本来の企業や職場に連絡なく、不法に職場を離脱することを意味します。失踪後、彼らの多くは国内に不法残留し、そのまま就労を続けるケースがほとんどです。

 

2. なぜ労働者は失踪するのか?(主な原因)

日本政府や人権団体の調査によると、労働者が失踪する原因は、個人の都合よりも、制度の不備や職場における抑圧にあることが明らかになっています。

§  転籍(転職)の制限: 現行の技能実習制度のもとでは、実習生が本人の意思で実習先(企業)を変更することが厳しく制限されています。そのため、職場でトラブルや困難に直面した場合、失踪する以外に選択肢がない状況に追い込まれることが少なくありません。


§  賃金の搾取(ピンハネ): 一部の雇い主が、法的に定められた最低賃金以下で労働させたり、残業代(OT)を適正に計算しなかったり、寮費などの名目で不当に高額な控除を行ったりするケースがあります。


§  職場における人権侵害: 上司や同僚からの精神的・肉体的虐待(パワーハラスメント)や差別に対し、十分な保護を受けられない現状があります。


§  母国での借金(債務の重荷): 多くの労働者は、来日するために母国の送り出し機関へ多額の手数料を支払っており、借金を抱えています。本来の職場の給与が低い場合、借金返済のために「より高い給与」を謳う不法ブローカーの誘いに乗ってしまうことがあります。

 

3. 外国人労働者への影響:メリットとデメリット

失踪によって、短期的には直面している困難から逃れられるものの、長期的には人生において深刻な不利益を被ることになります。

 

短期的な影響(メリット)

  • 抑圧からの即時解放: 強制労働やいじめがある職場から、ただちに抜け出すことができる点。
  • 一時的な収入増加の可能性: 農業や建設業など、労働力不足が深刻で不法就労者を受け入れている一部の現場において、初期段階でより高い給与を得られるケースがある点。

 

長期的な悪影響と不利益(デメリット)

  • 不法滞在(オーバーステイ)化: 企業から逃亡した時点でビザの効力は失われ、法的に逮捕・処罰の対象となる不法滞在者となります。
  • 社会保障および医療機会の喪失: 公的医療保険(国民健康保険など)がなくなるため、病気や怪我の際に受診が困難になり、全額自己負担による莫大な医療費がかかります。
  • 強制送還と日本への再入国禁止: 警察や出入国在留管理局に摘発(逮捕)された場合、収容施設に収容された後、母国へ強制送還されます。さらに、今後は日本への再入国が永久に禁止されることになります。

Source – The Japan Times/ NHK WORLD/ JITCO